河川と山並みが織りなす美しい風景
“岐阜県・揖斐郡”
私たち西濃建設は昭和8年(1933年)に岐阜県で創業し、揖斐川町・池田町・大野町を総称した “揖斐郡” に拠点を置き、東海三県を中心に歩んできた総合建設会社です。
▲ おおらかに流れる揖斐川の向こうに山並みを望む、自然が美しい地域。カヌーやソフトボールなど、スポーツ大会の開催地となることも。
土木・建築にとどまらず、生コン工場やアスファルトプラントも保有し、30年前から開発業・デベロッパー業も手掛けてきました。また市町村が保有してきた事業を民間に委託する指定管理業務にも力を入れており、元スキー場を改変したキャンプ場、県内最大級の「体験農園みとか」、道の駅に併設した温泉施設なども管理・運営しています。
▲ 標高550mの元スキー場をキャンプ場に変えた「揖斐高原キャンピングフィールドAFUREPPA」。オートキャンプ場、コテージ、バンガローでの宿泊だけでなく、バギー遊びやデイキャンプ、日帰りバーベキューなども楽しめる。現在はペットとキャンプできるエリアを計画中、2027年オープン予定。
▲ 「体験農園みとか」。5年前から県内企業2社と手を組み共同運営。広大な敷地でいちご、ぶどう、ブルーベリーなど、四季を通じた収穫体験を提供。カフェやマーケット、レンタルスペースも併設している。
今回のプロジェクトの発端となったのは、東海環状自動車道・西回り区画の開通です。それまで農村地帯で “みんなが通り過ぎるだけの場所” だった大野町に、2019年、大野神戸(ごうど)インターチェンジ(IC)が完成したんです。さらに、2025年には本巣ICまでの区間が新たに開通。開発に合わせ、2018年には道の駅「パレットピアおおの」が開業、2023年には「JA岐阜厚生連西濃厚生病院」が開院しました。今後も大手企業の工場などが近隣にいくつか進出予定と聞いています。
▲ 上&左下・計画地の様子(2026年8月現在)。遠くに山並みが見え、敷地に沿うように川と桜並木が続いている。/右下・賑わいを見せる道の駅「パレットピアおおの」。
ビジネス・観光・インバウンドと来訪者が増える見込みであるため、地域では以前からホテルの建設が熱望視されていました。そこで事業者として選定していただいたのが、建設業だけでなく事業の運営や管理まで一括で担える我々西濃建設だったという訳です。
アイデンティティが滲む場の設計
ホテルを手掛けるにあたって “単なるホテル” をつくるのは違うと強く思っていました。それでは大野町を “みんなが通り過ぎるだけの場所” から変えることはできない。
そこで商業エリアも合わせて計画することにしたのですが、ここに関しても、よく地方で見られる “ロードサイド型” の形は脱したい。大型店舗が並んでいるだけでは地域のアイデンティティが現れにくく、横の交流が生まれにくいと考えたからです。
これまで地域の方々に支えていただいてきた私たちだからこそできることは何か。『地元の方々に愛され、使っていただけて、滞在者にも特別な体験になる』、そんな場所にしたいという想いがくっきりと浮かんできました。そこでコンセプトを「地域の未来をはぐくむ ホテル×コミュニティモール」と設定したんです。
▲ ホテルは全部で47室。商業棟には10区画のテナントが入居する予定。既存の街並みに溶け込む建築・ランドスケープデザインとなっている。
描く構想が膨らんだこともあり、プロジェクトマネジメントや建築設計、ビジュアルデザインなど、様々なスペシャリストの皆さん* と歩みを共にすることになりました。現在は詳細な計画を詰めながら、入っていただくテナントさんの検討を進めているところです。
* 参画事業者(抜粋)は記事下部に記載。
『ちょっといい日常』が過ごせる場
商業棟の中央にはバスケットボールコートを備えた、セミオープンな多目的スペースをつくる予定です。倉庫のような空間に大屋根がかかっていて、地域の方々が運動や交流に訪れるのはもちろん、地元企業の式典や結婚式に使っていただくなど、様々な使われ方を想定しています。時にはイベントを開いたりと、賑わいと活気が生まれる場所にしたいですね。
▲ 商業棟の中央に位置する多目的スペース。大空間だからこそ、様々な用途に対応できる。
店舗には “普段とちょっと違うもの” を扱うところを増やしたいです。ホテルのラウンジのようにコーヒー片手に落ち着いて話ができたり、『みんなで美味しいもの食べに行こう!』とご家族やご友人、同僚と食卓を囲んだり。ローカライズすることが大切なので、あまり特産品に偏りすぎたくはないですが、他の地域からいらした方々に土地の器や食材を楽しんでいただける仕掛けもつくっていきたいです。
ホテルのレセプションは商業棟に配置する予定です。全47室のうち36室は鉄骨造3階建ての建物に。こちらはおひとり〜おふたりで泊まっていただける、約25㎡という広さです。せっかく泊まるならビジネスホテルより素敵な空間を楽しみたい方に選んでいただきたいですね。
▲ 約25㎡の客室。グレーと木を基調とした落ち着いたトーンで、備え付けのソファでゆったりくつろげる。
残りの10室は約50㎡。木造平屋建ての連棟式で、それぞれの客室に駐車場が付いているのが特徴です。ファミリーや仲間同士、ペット連れ* など、グループ利用を想定しています。
* ペット連れの詳細については未定。
▲ 一室のみある約100㎡の客室。片流れの屋根が室内にいても感じられ、空間をゆったり堪能できる。専用庭ではバーベキューを楽しむことも可能。
ホテルでも食事を提供しますが、商業棟の飲食店をご利用いただいたり、隣接する「パレットピアおおの」で地元の特産品を買ってきて、お部屋でゆっくり召し上がっていただくのもいいと思います。また商業棟には銭湯やコインランドリーを併設予定なので、運動のあとお風呂でさっぱりしてから帰っていただいたり、長期滞在にも対応したり、双方の利用者が交わる仕掛けを用意していきます。
とにかく機能を明確に分けず、効率の最大化を目的にしないこと。そうすることによって、日常使いの方にとっても、旅行者の方にとっても、どちらにも心地よい空間を提供できると考えています。
“揖斐郡の玄関口” を通り
西濃エリア、岐阜エリアへ
弊社で運営している各施設もそうですが、岐阜県には訪れる方々に知っていただきたい素晴らしいスポットが数多く存在します。ここを拠点に、一度に巡れなかったとしても『次はあそこへ行ってみよう』『また戻ってこよう』と思っていただきたい。
▲ 上・“おちょぼさん” の通称で親しまれる「千代保稲荷神社」。参道には古き良き商店や飲食店が軒を連ねている。/下・本殿を参拝する際にはお稲荷さんをお供えする。
▲ 建築家・長坂常/スキーマ建築計画が設計を勤めた「船町ベース」。老舗和菓子店を前身とする「シン・金蝶堂」やカフェが入り、暑い季節、敷地中央では湧水で水饅頭が冷やされていた。横には水門川が流れている。
この施設が再来のきっかけになったり、岐阜県の関係人口を増やすためのフックになるとうれしいですね。
こっからチャレンジしたいこと
このプロジェクト自体がチャレンジなのでぱっと思い浮かびませんが、岐阜市をホームとするバスケットボールチーム「
GIFU SWOOPS(岐阜スゥープス)」を応援していることもあり、バスケット熱をもっと盛り上げていきたいですね。
参画事業者(一部抜粋)
事業主:西濃建設 宗宮郷
事業企画・PM:ワンブロック 辻本祐介
商業マーケティング・企画制作:新東通信 中嶌梢
商業店舗リーシング:スペース 奥村貴志
空間デザイン監修:成瀬・猪熊建築設計事務所
銭湯アドバイザー:ONDOホールディングス
ランドリー事業パートナー:OKULAB